
英語の正確さ
語学を学んでいると、正しいアウトプットがなかなかできず、フラストレーションが溜まることも多いと思います。
以前も少し触れましたが、今回は「英語の正確さを気にすべきか?」というテーマについて、もう少し掘り下げて考えてみたいと思います。
あなたはどのタイプ?
以下のうち、あなたがもっとも近いと感じるのはどれでしょうか?
- 趣味で楽しく英会話がしたい。だから、正確さにこだわって話せなくなるくらいなら、気にせず話したい。
- 今まで机の上の勉強ばかりだったので、もう文法や単語は十分。正確さよりも、まずは会話力をつけたい。
- 世界には非ネイティブの英語話者がたくさんいる。だから、多少間違っていても言いたいことが伝わればそれでいい。
1. 「正確さ」より「気楽さ」を選ぶ人へ
観光や趣味で英会話を楽しむのであれば、丁重に扱われる限り、大きな問題は起きないかもしれません。
けれど、「正確さを気にすると話せなくなる」というのは、本当にそうでしょうか?
正確さ=完璧主義 なのでしょうか?
大人の脳は、子どもより柔軟性が乏しい分、正確さを意識せずに使っていると、間違った使い方がどんどん定着し、いわゆる「化石化」したままになってしまいます。
その場の楽しさや英語が通じた経験は大切ですが、「正確さを気にしない」が基本姿勢になると、長期的には伸びにくくなるーーこれは、私自身の経験からも確信しています。
2. 「もう勉強は要らない」と感じている人へ
「もう机の上の勉強は十分」と感じている方、どのレベルまで学んできたでしょうか?
たとえば、英検1級を持っているのに、これまで実践経験がなかったのだとしたら、それ自体が驚きです。ぜひ早く実践の場に飛び込んでほしいと思います。
自分で4技能をしっかり学べる人や、これまでしっかり学んできた人は、自分自身で正確さの判断ができますので、問題はありません。
でも、そうでない場合は、実践と基礎の両輪が必要です。
会話を練習しながらも、「読む・書く・聞く・話す」の4技能を継続してこそ、会話力もバランスよく伸びていきます。
もし、もともと人との会話が苦手だったり、母語でも緊張しやすいタイプなら、その特性に合ったアプローチも必要です。
3. 「通じればOK」だと思っている人へ
確かに、世界中には非ネイティブの英語話者がたくさんいます。
でもその多くは、高い教育水準のもとで、実用英語をしっかり学び、日常や仕事で活用している人たちです。
私が、これまでで出会った人たちも、例えば香港人でしたら、香港の店員さんとかはそんなに英語が上手ではなくて、学業を通じて知り合った香港人たちは、英語がとても上手でした。
非ネイティブの英語話者といっても運用レベルはいろいろですので、一括りにすべきではありません。
つまり、「多少間違っても伝わればいい」というのは、しっかりした基盤があったうえでの“柔軟さ”の話であって、「正確さを最初から手放していい」という意味ではありません。
大人になってから語学を学ぶと、意識していても間違えるのが普通。
それなのに「正確さは要らない」となってしまったら、学習そのものがどこにも向かわなくなってしまいます。
正確さを意識すること=学習そのもの
結局、正確さって何でしょうか?
He eated a apple. だって、伝わるからいい?
確かに、こういうシンプルな場合は、相手がすぐに間違いを補えますよね。
でも、すぐに補えない間違いだった時はどうなりますか?
そのせいで、あなたが飛行機に乗り遅れたら?
そもそも、相手があなたの間違いを補う事は、前提ということですか?
語学において、正確さを意識することは「学習の本質」です。
文法や発音のルールにお互いが従うからこそ、意思の疎通ができる。
自分が萎縮してしまうからと言って、自分が間違えるのを、最初から相手に補わせるつもりなのは良いのでしょうか?
私はここで、「英語に間違いがあるのが悪い」と言っているのではありません。
大人になってから語学を学んだ人は、基本的に間違いがなくならないと私は思います。
大事なのは、正確さを意識しようと思っているか、否かです。
会話の相手のための英語運用力
楽しく気軽に英語を使いたい。趣味として楽しみたい。
その気持ちはとても大切です。
でも、こんなイメージだったらどうでしょうか?
- ギターを自由に楽しく弾きたいから、弾きたいように弾く。
- ダンスを自由に楽しく踊りたいから、踊りたいように踊る。
- 英語を自由に楽しく話したいから、話したいように話す。
もちろん、すべて個人の自由です。
でも、英語を、相手あってこそ成り立つコミュニケーションの手段だと考えるなら、このようなやり方は、自己満足な英語を一方的に相手に押し付けることになりかねないと思いませんか?
もし相手に敬意を払いたいと思うなら、「正確さを気にする=話せなくなる」ではなく、「正確さを気にする=相手の負担を減らすため」という視点も、ぜひ持ってみてください。
あなたの学びが、優しいコミュニケーションに繋がっていきますように。