
気づいたら、私の英語は“3ヶ国ミックス英語”だった
「あれ?なんでそんな発音なの?」
私の英語に対して、英語が上手な日本人にそう言われたことがあります。
でも私は、「通じてるし、別にいいんじゃないかな」と、気に留めませんでした。
しかし確かに、私の発音と語彙は、オーストラリア、アメリカ、イギリスの3つの国の影響を受けているのです。
発音に無頓着だったあの頃
私が初めて英語圏に行ったのは、オーストラリアでのホームステイでした。
3週間と2ヶ月の短期滞在を1回ずつ、それからしばらくして、留学先の下見としてもう一度約2ヶ月間の滞在。
現地で教わった発音や単語は、特に考えることもなく、そのまま吸収していました。
次にアメリカへ渡った後も、オーストラリアで覚えた英語を疑いもせずに使い続け、その後、1学期間でしたがイギリスにも滞在したので、イギリスの発音や語彙の影響も受けました。
今思えば、発音も語彙も完全に“ちゃんぽん”。
あれこれ混ざった英語を、無自覚に話していたのだと思います。
英語で方言ミックス、あり?
たとえば、日本語を学ぶ外国人がこんなふうに話したら、どう感じるでしょう?
「こないだはでら疲れたわ。そやけど元気やで。」
私は関東の人間なので、実はそんなにしっくりは来ませんが、これは名古屋弁の直後に関西弁。
名古屋弁と関西弁に親しんでいる人なら、きっと一瞬「えっ?」と引いてしまうはずです。
(もし間違っていたら、ぜひご指摘ください。)
同じように、英語の中で複数の地域の発音や言い回しが混ざっていると、無意識のうちに違和感を与えてしまうことがあります。
オーストラリア → アメリカ → イギリス。
今思えば、私の英語はまるで「名古屋弁・関西弁・東京弁」のような、「3方言ミックス英語」状態だったのです。
1つのセンテンスの中に複数の地域の発音や語彙が含まれていたら、結構面白いですよね…。
「使い分け」って、必要なの?
聞き手の違和感と自分のリスニング力への影響
アメリカ滞在中、オーストラリア英語っぽい発音や単語を使うと、ときどき相手に戸惑われました。
でも当時の私は、「伝われば十分」と思っていて、いちいち使い分ける気はなかったのです。
留学終了後にオーストラリア人の友達と会った時も、「そういう言い方はしないよ」と(好意で)アメリカ発音を何度か直されました。
今ならわかります。
複数の地域の発音や語彙が混ざっていると、伝わるかどうか以前に聞き手に違和感を与える、と。
またそれ以外にも、自分の「リスニング力の伸びを妨げる」要因にもなります。
もちろん、聞き分けができている人なら全く問題がありません。
聞き分けができていないと言うことは、当然区別して発音し分けることもできないということなので、それは単に発音自体に対する認識が不十分なのです。
基準を選ぶべき
「自分は複数の国で留学する予定はないから、そんなことを気にする必要はないよ」と思われる方もいるかもしれません。
でも、あなたの音源付き教材は、アメリカ英語(GA: General American)のものとイギリス英語(RP: Received Pronunciation)のものが混ざっていませんか?
あなたが最近英語の学習のために見た海外ドラマは、アメリカの『ザ・ラスト・オブ・アス』?イギリスの『ダウントン・アビー』?
それとも、『ヤング・シェルドン』を見て、テキサス訛りが聞き取れなかったり、『アドレセンス』のヨークシャー訛りで、お手上げになっていませんか?
もちろん、いろいろな英語話者がいますから、英語圏に限らずさまざまな地域の発音や語彙を学ぶのは、とても大事です。
でも、あなたは日本語学習の初心者に、日本の方言を勧めますか?
学びたい方言が話されている地域に住むことが決まっているのでなければ、最初は標準語、またはそれに近い「地域言語(特定の地域で使われる言語)」を学んだほうが混乱を避けられると、私は自分の個人的経験から強く思います。
いろいろな地域の発音や語彙を学ぶのは、その後でも遅くないのではないでしょうか?
今はカリフォルニア英語に統一中
そんな私も、英語学習を再開するにあたり、発音の軸を「カリフォルニア英語」に決めました。
一番長く滞在したのがアメリカ西海岸だったこと、そして世界的にも通用しやすい発音だったことが理由です。
今は、国際音声記号(IPA)も学びながら、発音練習アプリでカリフォルニア発音に矯正中。
留学前も留学中も電子辞書で発音を何回調べたかわからないほどだと自負していたのですが、アプリで発音チェックが入って初めて、「えっ、この単語、発音間違って覚えてたの?!」と驚くことも少なくありません。
自分がいい加減だったことを反省しながら、たまにアプリがなかなか合格をくれず、こんな後になっての矯正はなかなか難しいのだとも痛感しています。
(ムキになって30分ぐらい粘ることもあります…。)
発音は、後から直すのが本当に大変。
だからこそ、学び始めの段階で「どの地域の発音を学ぶか」を意識することが、あとあとの混乱を防ぐカギになります。
学びの軸になる地域
発音を統一することの重要性を考えるとき、最近よく目にする「自分の母語訛りを誇りに思うべきだ」という考え方が頭をよぎります。
私は、自分の日本語訛りが消えるとは思いませんし、別にそれを恥ずかしいとも思いません。
ただ、学習に関しては、何かひとつのことを学ぶときに、基準が複数あるのは良いとは思いません。
先ほども少し書きましたが、私は発音に関して地域的な基準がなかったが故に、自分のリスニング力の伸びにひどく影響したように思います。
英語は標準語がない分、大きい国やよく知られた地域の発音や語彙の方が、教材等の観点から学びやすいため、私はカリフォルニア英語を選びましたが、その辺は好みや利便性からでいいと思います。
もちろん、私がこれまでいろいろな英語の発音に直接触れられたのは、今となっては貴重な経験でした。
でもこれから英語を学ぶ方や、現在学習中の方には、教材や留学先の選び方も含めて、できるだけ早く英語発音・語彙の「学びの軸になる地域」を持つことをおすすめしたいです。