#017 英語ネイティブならばTOEIC満点?

ネイティブ=満点?実はそうでもない

「ネイティブだったらTOEICなんて余裕で満点じゃないの?」
非ネイティブからするとそう思いがちですが、現実は少し違います。

私がこれまで実際に見聞きしたケースでは、次のようなTOEIC L&Rのスコアでした。
• 英語ネイティブの講師:960点
• 日豪ハーフのバイリンガル高校1年生(オーストラリア育ち、日本の教育):930点
両者とも自由自在に英語を使いこなせる人たちですが、それでも満点ではなかったのです。

IELTSも同じ

これはTOEICに限った話ではありません。
IELTSでも、ネイティブスピーカーが準備なしで受験すると、満点のバンド9.0には届かないことがあるそうです。
それどころか、もっと低い場合も。

つまり、どんな言語能力を持っていても、「試験」というフォーマットに対する理解と対策がなければ、最高得点は狙いにくいということです。

日本語検定1級がヒント

この現象を説明するうえで、私はよく「日本語検定1級」を思い出します。
日本語ネイティブである私でも、日本語検定1級の過去問を見ると「思うほど解けないし、正直全然解きたくない」と思ってしまいます(笑)。

つまり、言語の運用力とは別に、「試験で満点を取るための訓練」や「細かい知識のインプット」が必要になってくるのです。
TOEICも同じで、900点台後半に入ってくると、あとはどこまで内容を深く、細かく理解できるかが問われてきます。
それは、英語を“使える”かどうかとは、また別の次元の話なのです。

TOEIC L&R 900点台半ばで「次」に進んでいい

逆にいえば、特別な試験対策をしないまま、自然体で受けて900点台半ばや後半=CEFR C1以上が出たのであれば、その人にとってTOEICはすでにその役割を果たしたと言っていいのではないでしょうか。

「もう大丈夫。語学試験の関係ない次の段階に行こう」
そう言えるラインだと思います。

満点は「試験対策力」の証明

TOEIC満点を取ることは、英語の運用力そのものというより、「この試験をどれだけ理解し、対策してきたか」という試験対策力の証明に近いのかもしれません。
必要があって満点を狙うのは、もちろん立派なことです。
でも、単なる英語力の証明としてなら、「満点」にこだわりすぎる必要はないのではないでしょうか。
だって、目指すのは「できるだけネイティブに近い英語能力を持つ人」であって、「英語試験対策専門家」ではないですよね?

最終的に問われるのは、英語で実際に何ができるか。
試験のスコアや合否ではなく、そこに焦点を移していきたいものです。

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