#027 ネイティブの屁理屈にも負けない!ーー英語4技能を支える論理的思考の話

日本の国語ライティング教育

「書く」というと、身構えてしまう人もいると思います。
本の虫のような学生だったら別かもしれませんが、作文や小論文の課題は、あまり好まれていなかった印象があります。

私自身の経験では、夏休みの課題で感想文、授業でたまに作文があったと思います。
体系立った書き方はほとんど教わらなかった記憶があります。
書き方が自由すぎて、いきなり海に放り出されたような戸惑いがあったのを覚えています。
大学の受験科目としては小論文があったと思いますが、私の学校では特にそういう内容は教わりませんでした。

アメリカの国語ライティング教育

しかし、私が通ったアメリカのカレッジでは、「英語(つまりアメリカにおける国語のようなもの)」には、クリティカルライティングが、基礎のクラスと、それに準ずるクラスで行われていました。
これは必修のクラスでしたので、専攻は関係ないようでした。

クリティカルライティングとは、批判的思考を伴う文章作成のことで、論理的な思考(クリティカルシンキング)と書き方を習います。
私が授業で初めてこれを知った時、これは誰にでも必要な知識だと思い、ひどく感心した記憶があります。
論理的思考がきちんとできれば、自分の考えることを人に正確に伝えることができるからです。
また自分の考えの穴も自分で見つけられるので、思考の曖昧さを自分で回避できるようにもなります。
学術的な場面だけでなく、生活においても、仕事においても、必要な考え方だと思います。

私が行ったカレッジは特別なところではなかったので、これが一般的なアメリカの高等教育の一部であるようです。

論理的思考が問われる

つまり、私のように、日本で文章の書き方自体をほとんど勉強しないままだった人にとって、アメリカの英語のクラスは、英語自体が難しいということと、基礎的な文章ですら書くのが難しいということに加えて、論理的思考やテクニックが問われるものだったのです。

TOEIC S&Wや英検1級のライティング問題は、このようなライティングの中でも一番簡易的なバージョンです。
明らかにクリティカルライティングがベースとなっています。

これは書くことだけにとどまりません。
スピーチをやるにしても、スピーチスクリプトの内容は、クリティカルライティングによるものです。
つまり、「話す」にしても、しっかりとした論理的思考にもとづいて、内容を構成しなければなりません。

当然、そのような内容を話したり書いたりしたものを、「聞く」「読む」ことでも理解する力が求められます。
つまり、英語を学ぶということは、4技能を通して論理的思考も学ぶことになるのです。

もちろん、留学もしないし、英語を学ぶのはネイティブと雑談をするのが目的という人もいるでしょう。
しかし、英語話者は普段から討論好きな人や、意見を求めてきたりする人がとても多いので、論理的思考を持ち合わせていた方が、会話の時にも困らないのではないかなと個人的には思います。
普段の会話で、たまに屁理屈のようなことを言ってくるネイティブ相手でも、論理的思考で勝てる時が結構あります。
海外でトラブルがあった時に、相手の思考の穴を突くことで、乗り切った時もあります。
学ぶのは簡単ではありませんが、クリティカルライティングやクリティカルシンキングをしっかり学んで良かったなと思うことは意外とたくさんあります。

余談でしたが、とにかく、論理的思考は英語4技能を学ぶ上で避けて通れないものですので、今回、早めに説明しておきました。

クリティカルライティングの学び方については、今後の記事で書きたいと思います。

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