
楽しく英語が話せるようになる?
「勉強は苦手だけど、英語を話せるようになりたい」
そう感じている人は、実はとても多いのではないでしょうか。
個人的な印象では、このタイプがいちばん多いように感じます。
メディアでは、「楽しく英語が話せるようになる!」というイメージが溢れています。
広告代理店が作った魅力的なキャッチフレーズや、楽しそうに英会話をするビジュアルを見ていると、楽しいだけで英語が話せるようになる未来がすぐそこにあるような気がしてしまうのも無理はありません。
でも、現実はどうでしょうか?
「確証バイアス」にご用心
確証バイアスとは、自分が信じたい情報だけを無意識に選びとってしまう心理のことです。
たとえば、誰かが次のように言ったとします。
「英会話は、英語自体をきちんと勉強してからじゃないと難しいよ」
でもそれを聞いたあなたは、次のように思ってしまうかもしれません。
「机の上の勉強は苦手なのに、それじゃ私は一生英語ができないってこと!?」
そうすると、「楽しく英会話を学べる」「聞くだけで英語がペラペラ」といったフレーズが魅力的に見えてくるかもしれません。
でも、それは残念ながら、お客さんを呼び込むためのキャッチフレーズに過ぎません。
自分の信じたい情報だけを集めていては、たどり着けない領域があります。
勉強が苦手ならば、英語を大好きになったほうがいい
「勉強が必要なのはわかったけど、苦手なことをどうやってすればいいのかわからない」
もしそう思うなら、英語そのものを“好きになる”工夫をしてみるのがおすすめです。
「え、今まで興味がなかったし、全然わからない」——それなら、自己暗示でも構いません。
英語や、英語圏の文化・歴史にちょっとだけ興味を持ってみてください。
たとえば、英語のドラマシリーズを観て、好きな登場人物を見つける。
その俳優がブロードウェイでも舞台に出ていると知ったら——
「いつか現地で観て、セリフを直接楽しめるようになりたい!」と、自然と“学びたい気持ち”が湧いてくるかもしれません。
学びはもっと“有機的”なもの
「英会話」と「英語の学習」は、全然違うものではありません。
むしろ、そのまわりには、英語圏の文化や歴史、自分の体験——あらゆる要素が神経回路のように連なり、互いにリンクしているのです。
英語を話したいという思いが、
- イギリスのファンタジー小説が好きで、イギリスにホームステイしに行ってみたい。
- ハワイ旅行で現地の人に話しかけられたのに、何も答えられずに後悔。次こそはリベンジしたい。
- 自分の地域に引っ越してきたフィリピンの人が、日本語があまりわからなくて困っているので、サポートしたい。
といった、自分の“好き”や“願い”と結びついたとき——勉強は、もっと立体的で、生き生きとしたものになるのではないでしょうか。
有機的な学びが動き出す
つまり、机の上の勉強に苦手意識がある人は、文化や体験を織り交ぜながら、有機的に学ぶのが鍵です。
「勉強=机の上」だけではないし、「学び=苦しさ」でもありません。
あなたが好きなこと、知りたいこと、つながりたい気持ち。
それがエンジンになって、自然と“有機的な学び”が動き出す瞬間が、きっとやってきます。
そのために、自分の興味を探したり、深めてみることは、決して無駄にはなりません。